新しいことを始めるにあたって(スタッフMより)


もう20年以上前の話ですが、大学時代の友人と一緒に児童養護施設で美術クラブというクラブ活動を毎週日曜日に行っておりました。
小学生を対象に絵をかいたりものづくりをするクラブでした。
ある新学期に、その日は絵具を使って何かを描きましょうという日だったのですが、一人だけなかなか絵を描き始めない子がおりました。
その子は五人兄弟の末っ子で、やっとお兄ちゃんお姉ちゃん達のようにこのクラブに参加できることを楽しみにししていたのに、どうしたのかと思い声を掛けました。
するとその子は、「僕は絵具を使ったことがない人だから、うまくかける描けるかどうかわからない」と言いました。
・・・私は返答に困って「このクラブはやりたくないことはやらなくていいのだよ」「ただ、きょう絵の具を使えば明日からやったことがある人になるれよ」と、何とも当たり前の返しをしてしまいました。
その後その子は意を決して初めて絵具を使って何とか絵を描きあげました。恐らく、今まで使い慣れたクレヨンやペンとは勝手が違って、思うようにいかず手こずったことと思います。
それ以来、毎週参加し新しい事にも躊躇なく取り組んでおりました。
そして、2年生か3年生のとき兄弟と離れて施設を出て養子にはいりました。
とても勇気のいることだと思うのに立派な決断をしたなあと感心させられました。
20年以上たって、この「やったことがある人になる」という言葉が、自分自身に今になって降りかかっております。
何か新しいことを始めるにあたって、うまくいくか不安でなかなかスタートを切れないことが私には多々あります。
でもそれは悪い癖です。先ず一歩スタートを切って、そして進んでいくうちに何か問題にぶつかったら、その時初めてその問題を解決するべく立ち止まって考えればいいのだ!と、自分自身に言い聞かせ、新しいことに取り組んでいかなくてはと思っております 。
以上です。